Surrounded By Football -サッカーライターが考える-

自分は、サッカーを中心にスポーツ全般を扱う場所に軸足を置きつつ、書くこと以外にもさまざまな仕事をしています。スポーツに囲まれて毎日を送る事ができて幸せです。ここでは、サッカーのことも書きますが、それ以外の話題も。アウトプットの場として用意したものです。シェアして頂けましたら喜びますので、よろしくお願いします。

やっぱりベッカムって最高だよな、という話 -有名人のチャリティー活動について-

基本的に、女子から「キャー!かっこいい!!」みたいに持ち上げられているサッカー選手に対して、男子サッカープレーヤーの目線は厳しい。ただの嫉妬。男なんて器の小さいものなので。というのも、内田篤人選手を大好き!みたいな男子はそんなたくさん見たいことないし、代表戦でちょっとミスをすればバッシングする輩が多い(もしかしたら僕の周りだけかもしれないが) 。

素直に認めないというか、そこらへんに変な意地があるのが男なのかなと。

まあこの話題は次か次の次くらいのトピックにしよう。

 

それで、イケメンフットボーラーの代表格といえば誰もが思いつくのがデイビッド・ベッカムだ。右足でのFKの精度で言ったら自分が今まで見てきた選手の中でもトップクラスだったと思う。マルコス・アスンソンと並んで。ただ彼に関してはそのビジュアルがクローズアップされすぎたせいか、本業のサッカーにおける存在感の強さを弱められた感があって、そこは残念。

 

そんなベッカムが最後に所属したパリ・サンジェルマンで、自らのサラリーを全額、パリの子どもたちに寄付したことは話題になった。PR戦略という声もあったが、週給£170,000をパリの子供たちに寄付するって、すごいことだ。いくらだと思って計算しようと思ったけどとんでもない額になりそうなのでやめておく。

David Beckham to play for free at Paris St Germain | Mail Online

これがその記事。日本語のはもうなかったので、DailyMailのをセレクトしました。

 

でだ、そのベッカムが今回夫妻でやらかした。

今、フィリピンが台風の影響で300〜400万人の人が住む家を失い、5000人近くの志望が確認されたことは大体の人がご存知だろう。連日報道されているとおりだ。そのフィリピンに対する慈善活動の一環として、イギリス・ロンドンのバッキンガム宮殿の西南にある赤十字が運営するチャリティーストア"ケンジントン&チェルシー"に対し、夫妻が所持するブランド物の衣類をなんと20箱分寄付したと言う。しかも店員のFlona Liuさんによると「ほとんどが新品みたいな状態」だったと言う。ちなみに「ビクトリアさんの服はめっちゃ小さいので、まず普通の人は着れません」と心配していた。そこですか。 

 

そして、これが販売当日の朝の様子。am11:00開店なのだが、コレが撮影されたのは8:30。寒そうだ。

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 © The independent

 

この店は人々が持ち寄った物を販売し、そこで得た収益を赤十字に寄付する目的で存在するものなのだが、そういう志向の店が開店2時間半前からこれだけ人が並ぶなんて考えられないだろう。恐るべしセレブとそのフォロワーの力。

価格帯は£25のベルトなどから£150のヴィクトリアさんの使用したブーツや£250のウィンターコートまで幅広い。しかし、"この2人が着た"という付加価値が付いていることを考えれば安いだろう。そしてベッカム夫妻この付加価値を感じ取れる人を創りだし、赤十字のこの活動に寄与したことに何よりも敬意を表したい。

 

ヴィクトリアさんが着たドルチェ&ガッバーナのジャケットを£75で買った女性もいたらしいが、これは絶対お得だ。自分にジャストフィットしたようで、ものすごく満足したらしいが、この人はスタイルがいいのだろうか、なんて思った。

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こんな感じらしい。保存状態良いな ©The Independent

 

そしてこの女性がこう言っている。

もっと多くのセレブがこういった活動をするべきだと思うわ。私はただお金を寄付するだけのことはできないけど、この商品を買うことで同様のことが出来るのだから。

そして出品者(?)であるヴィクトリアさんは

「デイビッドと私はこの活動を通じてフィリピンを支援したいと思っているし、イギリスに住むすべての人に同様のことを行ってほしいと思っています。おそらくみなさん、家のクローゼットの奥底にしまってあるドレスやスーツや靴があると思いますが、その殆どがもう一度着れるものでしょう。欲しい人もいるはずです。それらを赤十字のチャリティーストアに持って行きましょう! 

と言っております。(上はindependent、下はskyより引用)

実はヴィクトリアさんはすごくチャリティー活動に積極的。2010年にはthe royla marsden cancer charlityという、集めた寄付金で世界中のがん患者のサポートや医療器具の研究援助などを行う団体に対しても協力したことがある。この時も自身の衣類をe-bayに出品し、そこで得た収益を寄付したのだが、£7000近くを集めたという。すごすぎる。その姿に感銘を受けたデイビッドが、前述したPSGでのサラリーの寄付をやろうと思ったとか。

 

セレブの慈善活動で言えばU2のボノがアフリカの慈善活動に積極的に参加したり、アンジェリーナ・ジョリーUNHCRの親善大使的なのに就任して難民キャンプにたびたび訪れるなどしているのが有名だ。ブラッド・ピットも同行するこもある。もっとこういう活動は公にされるべきだし、ボノとアンジーに関してはノーベル平和賞を取ってほしいもう3,4年くらい思っている。オバマ大統領やEUにあげるのならこの2人のほうが将来を考えた上でも適切だろうと、何度思ったことか。

とにかく、日本にもこの夫妻の声が届くといいなと思ったし、こういった活動をする有名人がもっと増えてほしい。なので、今回このようにして発信した訳です。ちなみに自分もこのBritish Red Cross のページから寄付してきました。£10と少額ですが…ペイパルアカウントを持っている方はぜひ。

 

 

それでは今から準備して西が丘に行ってきます。そのあとは味スタへ取材。

 では、今日はこんなところです。

 

おまけ:ベッカムFK集


David Beckham All 65 Free Kicks in Career - YouTube

 

 

もっと良い世界になってほしいと漠然と考えているから、ブログを書いている

 

人の命を引き換えに行われるワールドカップに価値はない - Surrounded By Football -サッカーライターが考える-

先日に書いたこの記事は今まで書いたものの中でも一番多くの人に見ていただくことが出来ました。はてブがこんなに付くと思ってなかったので、正直驚いている。 

 

で、おそらく前回記事を見て何らかの感想を持った人は2パターンに分けられるのでは、と書いた直後に感じたのである。

 それは、

①「知らなかった…もっと多くの人がこういう事実を深く考えなければいけない」

というのと

②「そんなこと今に始まったことではないし、それを言い始めたら色んなサービスやモノを使うことはできなくなるんじゃない?」

というもの。

全員が全員に当てはまるわけではないと思うが、ブックマークのコメントやFBによる知人の反応を見る限り、だいたいこの2つに分かれていた。個人的にはこのページに訪れた人が読後に①の感覚を持ってくれることを願って書いたので、素直にそう感じてくれた人が存在したことは嬉しかった。じゃあ、②に属する人に対してはどうなんだということになるが、全くもって嫌悪感は感じていない。むしろ嬉しい。

(というか、どんなコメントであろうともどんな理由でもあろうともコメントつけてくれたりはてブされたら、それは"読まれている"証明にもなるので嬉しいもの。この場を借りて、みなさんありがとうございます)

で、、②のようなコメントをくれた人はおそらく情報感度が高い人で、世界だけでなく日本の労働環境問題(最近話題のブラック企業とか)に、その強弱は問わずとも関心を持っている部類に属してるのだと察する。たぶんtwitterとかも積極的に使っていて、それなりに情報拡散の力も強いのではないだろうか。そういう人たちがこの記事のリンクをツイートしたりはてブをつけてくれることが、①の感想を持つ人、つまりこのワールドカップ開催の裏側とも言えるカタールの労働環境問題について知らない人に認知させる役割を自分の代わりに担ってくれていることになる。だから、感謝というわけです。 

はてな界隈はけっこう博識というか、好奇心が強めで情報通な人が多いと思ってるので、正直このエントリで「今更なに言ってんの」と言われるのに若干ビビっていた(マジです)。だけど、例えば海外で移民が劣悪な環境下で労働を強いられてる事実は知ってるけど、それが自分の身近にある娯楽や普段何気無く使っている製品と密接に関わってるという事実まで知ってる人は、前者に比べて決して多くはないと思う。そういう人が前回提示したような社会問題について深く考えて、何らかのアクションを起こすきっかけになれればと、強く願った上での投稿だった。少なからず貢献できたのではないかと思う。

 

  8割の人が認知している事実を記して馬鹿にされたり批判されても、残りの2割に届く可能性後あると考えれば、こういう発信をする意義はあるのかなと。前回の記事でも言ったように、スポーツなんて存在しなくても生きていける。言ってしまえば娯楽であるのだから。ただ、人生を有意義なものにするために娯楽は必要だ。

 だけど、世界の90%の人が楽しむために10%の人が苦しんでる事実が仮にあったとして、その10%を無視するような娯楽は存在してはいけないと個人的に強く思う。 例えば10%の人の存在を知らないままサッカーという娯楽を100%に楽しんでるAさんに10%の人の存在を認知させたとしたら、その人は100%でサッカーを楽しむことはできなくなるのではないだろうか。そこでAさんは"サッカーを100%、何も考えず純粋に楽しむために、苦しんでいる10%の人を救いたい。救いたいとは言わないまでも、自分ができる限りのことをしたい"と思うかもしれない。そんなAさんを増やすために、先日のような記事を書いたわけだ(100とか10とかかたくさん出てきてわかりにくくなってゴメンナサイ)。ちなみに僕はけっこうマイノリティを尊重する人なので、Aさん的な人間だ。

 

  僕はサッカー関係の仕事をしているが、そのサッカーに関わる人の100%が笑顔になれる世界を作り上げたい。ただ、自分一人の力じゃそんなことできないのは自明の理。なので、多くのサッカーファンで、誰も批判することのできない世界最強の娯楽を作り上げませんか?ということです。これからも僕はそのために色々と発信をしていきます。

 

さて明日と明後日は取材まみれです。湘南のJ1残留がかかっています。風邪気味ですが頑張ります。

 

では、今日はこんなところです。

 

人の命を引き換えに行われるワールドカップに価値はない

僕はテレビをほとんど見ないのだが、朝起きて家を出るまでの間はとりあえずBS1で放映されているWorld Waveを流している。そこで昨日、BBCからのニュースで興味深いものがあった。ここ2日でアムネスティはじめ多くの団体やメディアが露出させている話題なのでご存知のかたも多いと察しますが、これです。

 

 

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BBC News - Nepal's World Cup trail brings misery

 

 簡単にまとめると、2022年のワールドカップ開催地であるカタールで行われている建設作業の労働力として雇われたネパールの出稼ぎ労働者達が劣悪な環境で作業を強いられている事実を伝えるもの。

決して裕福とはいえない家庭を支えるためにミャンマーから出稼ぎ労働者としてカタールへ赴き、ワールドカップのための建設作業に携わった29歳の男性が、満足な休みや食事が与えられることなく、心臓発作を起こして帰らぬ人となった。それによって未亡人となってしまった奥さんがインタビューに応じてくれているのだが、その悲壮感は言葉では表せない。全く別の話になるが、伝えるツールとしての動画のパワーを感じた次第だ。ちなみに動画はリンク先で見ることができるので、是非。

 

スポーツに密接に関わりながら生活をしていいる自分としては決して見て見ぬふりは出来ない話題と感じたし、大学時代から考え続けていたスポーツの社会的価値・存在意義というテーマとは相反する内容であったために、ブログで発信することにした。

そういう側面で考えた時に、1990年代後半あたりのナイキの東南アジアでの児童就労問題(NIKE Swetatshop)が挙げられると思うのだが、興味ある方はウィキペディアにまとめられているのでどうぞ。ただ、ここでの情報は表面的なものだけなので注意。

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 ↑ナイキの児童就労の風刺画

 

話がそれたが、そもそもスポーツ全般なんてものは正直、人間が生きていく上で必要が全くないもの。それでもここまで、特にサッカーが世界に広く根付いているのは、サッカーというスポーツが与える感動や興奮が世界中の数えきれないほどの人々に支持されており、その存在価値が多くの人に認めてもらってくれるからである。ワールドカップもチャンピオンズリーグも、各国で行われているリーグも開催が出来るのは、その大会が間違いなく個人の精神面にも国家レベルの経済面にもプラスの影響を与えてくれるからだと、そう思っている。幼い少年少女にも夢を与えてくれる。それはオリンピックも然り。まちがいなくスポーツの国際大会には存在価値がある。

しかしどうだろう。今回のような出来事が横行している事実が、ワールドカップやオリンピックの裏にあることを、知ってしまったとしたら。

 開催する意義はあるのだろうか?人の命を犠牲にしてまで開催される大会に存在意義はあるのか? 少なくとも、この事実を知ってしまった以上、僕は2022年に行われるであろうカタールワールドカップを100%で楽しめることがなくなった。開催が近づくに連れて、この旦那さんを亡くしてしまったこの女性の表情がよぎるに違いない。それに、間違いなく過去のオリンピックやワールドカップでもこういう労働環境の問題はあったのだろうと察する。そう考えると本当に居た堪れない。

 

  この亡くなってしまった29歳の男性の生命の損失を無駄にしてはいけないというのは月並みだが、決して今後こういうことが続かないように大会に関わる個人や組織が色々な働きかけをしなければいけない。それと同時に、低賃金で劣悪な労働環境とわかっていてもそこに出稼ぎに行かざるをえない多くの移民の存在に、国際社会とその構成員である僕達1人1人が目を向けなければいけない。

 

今朝の同番組内でもドイツのZDFという放送局のニュースが紹介されており、そこでインタビューに答えていたFIFAの要人らしき人が

「一つ良かったことがあるとすれば、この問題がワールドカップの開催によって世界に知られたことだ」

 

と苦い表情で語っていた。まさしくその通りだが、はっきりいってこの問題が解決されないこことには"知られた"という事実の意味がなくなってしまう。

 

なので、僕はこの事実を全力で多くの人に伝えたいと思う。 極論、これが解決されないのであれば日本はこの大会への出場を辞退してほしい。

 

そして最後に。アムネスティ

THE DARK SIDE OF MIGRATION: SPOTLIGHT ON QATAR’S CONSTRUCTION SECTOR AHEAD OF THE WORLD CUP

という論文を掲載していたので、興味ある人は是非。自分も読まねば。

 

では、今日はこんなところです。